【JAA/DMI共催セミナー】『日本の広告費』からアドバタイザーの次の一手を紐解く~前編~

公開日 2026年06月01日
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電通メディアイノベーションラボ メディアイノベーション研究部長

長谷川 想

日本電信電話(NTT)にて、主に情報メディアサービスの開発・運用などに従事後、電通入社。
メディアプランニング、デジタルマーケティングなどを主に担当後、現職。
情報行動、メディアビジネス、ローカルメディアなどに関心がある。
学際情報学修士課程修了。日本マーケティング協会マーケティング・マイスター。

「日本の広告費」の推定範囲と推定方法

マス四媒体広告費

制作費も含めた推計です。

プロモーションメディア広告費

7つの媒体区分で推計しています。

インターネット広告費

「媒体費」の中に「マス四媒体由来のデジタル広告費」として新聞社や放送局由来のデジタル広告費を別で再掲として推計をしています。
物販系ECプラットフォームは後ほど解説します。あとは「インターネット広告制作費」という区分で集計をしています。なお、「媒体費」の内訳、「インターネット広告詳細分析」について後ほど紹介します。

これまで世の中のメディア環境の変化に従って推計区分を変えてきています。2007年改定では、インターネット広告費の中で広告制作費を追加しました。プロモーションメディア広告費は実勢に合わせてメディアを追加しています。

インターネット広告媒体も変えてきています。それまで、PCや検索連動、モバイルなどデバイス別だった推計区分を、2012年「運用型広告」(検索連動広告・枠売り広告・バナー広告など)などの取引手法別にいたしました。
また、2014年には地上波と衛星メディアを統合し、テレビメディア広告費としています。
2018年にはマスコミ四媒体由来のデジタル広告費の推計を再掲し、2019年には物販系ECプラットフォームをインターネット広告費に追加しました。
プロモーションメディア広告費も実勢に合わせています。大きいところでは2019年に「イベント領域」を「イベント・展示・映像ほか」として追加しています。

総広告費

総広告費は初めて8兆円を超え前年比105.1%、過去最高を4年連続更新しました。
2020年はコロナでかなり落ち込みました。社会経済状況で大きく変わることが可視化されています。アジア通貨危機からITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災、コロナ。そういったタイミングで広告費が非常に減少しています。
折れ線グラフは、総広告費と名目GDPの前年比の推移をまとめたもので、GDPよりも広告費の方がより強く反応していることが確認できます。

30年間でみる日本の総広告費の推移

広告費の名目GDPに対する比率は、日本は1.22%です。イギリス、アメリカに比べて低く、名目GDPに対して、まだ伸びしろがあるのではないでしょうか。

総広告費と名目国内総生産(GDP)の推移

媒体別広告費

30年間の媒体別広告推移です。インターネット広告は推計開始後、一度も減ることなく増加を続け、2019年にインターネット広告がテレビメディア広告を抜きました。

30年間でみる媒体別広告費の推移

マス四媒体合計を追加したグラフでは、2021年にインターネット広告がマス四媒体広告費合計を追い越したことがわかります。

30年間でみる媒体別広告費の推移(マス四媒体あり)

プロモーションメディア広告費の推移は、折込、電話帳など紙ベースの媒体は減少傾向が続いています。イベント・展示・映像は、2019年にイベントを足して大きく膨らみ、翌年コロナで落ち込みましたが、以降は回復基調です。

30年間でみるプロモーションメディア広告費の推移

媒体別広告費比率の推移です。ご覧の通りインターネット広告が拡大し続けています。

30年間でみる媒体別広告費 構成比の推移

改定タイミングの2007年と2025年を比べると、総広告費は7兆から8兆円。1兆円増えていますが、インターネット広告費は8.6%が50.2%に大きく比率を増やしています。

こちらは2025年の媒体別広告費です。PowerBIというツールを使って電通のサイト上で公開されています。
https://www.dentsu.co.jp/knowledge/ad_cost/ad_ratio.html

出典:電通Knowledge & Data

諸外国と比べると、推計している対象範囲がアメリカ、イギリスとは違いますが、総広告費に占めるインターネット広告費の比率は、アメリカで70%台、イギリスは80%に達していると言われます。これらの状況を見ると日本も50%からさらに増加することが予想されます。

マスコミ四媒体広告費

新聞広告

コロナ禍、2020年以降の2021年には一時上昇しましたが基本的には減少傾向が続いています。2025年は-8.2%の3,136億円でした。業種別動向(構成比トップ10)、左側が業種別の構成費、右側が前年比の成長率を表しています。

新聞広告費 業種別動向(構成比トップ10)

旅行会社や、流通・小売業におけるターゲットや媒体特性に親和性がある通販会社が、出稿の多い業種でしたが、いずれも減少しています。

雑誌広告

この2年は前年比増でしたが、2025年は-3.7%で前年比減少となりました。合計1,135億円です。雑誌といえば女性向けのファッション・アクセサリーが出稿業種として非常に多いですが、こちらもやや減少しています。

雑誌広告費 業種別動向(構成比トップ10)

ラジオ広告

この4年間前年比増が続いていましたが、2025年は-0.8%でした。構成費では、外食・各種サービスが多くなっています。あと、テレビ(地上波)もですが、今回、情報・通信が持ち直しています。前年比で見ると業種によって明暗が分かれました。

ラジオ広告費 業種別動向

テレビメディア広告

衛星メディアと地上波テレビを合わせて2025年は-0.3%でした。1兆7,556億円。広告全体の8兆円に対してこれぐらいの数字になっているという状況です。
地上波に限ると2025年は-0.1%です。業種別では情報・通信、飲料・嗜好品、食品が多く、情報通信が前年比で伸びています。また流通・小売業が大きく増加し、昨年大阪・関西万博もあり、交通・レジャーも出稿量が増えました。

テレビメディア広告費(地上波テレビ+衛星メディア関連)

衛星メディアは、1,223億円。BSの中高年層向けの番組は活況を呈していて、スポンサーも集まっているという話も聞きますが、地上波より減り幅が多く、-2.5%でした。

種類別には、民放各社のBS4K撤退の報道も出ていますが、BS放送は959億円(前年比98.1%)でほぼ横ばいでした。CS放送は134億円(前年比94.6%)、CATVは130億円(前年比96.3%)で、やや減少傾向です。

業種別広告費

マス四媒体を合計してその業種の増減を見ていきます。
業種別に広告費の構成費が多い順番で左から並んでいます。前年比で2025年は情報・通信が増加、食品、化粧品・トイレタリー・飲料・嗜好品や減少となりました。

業種別広告費※マスコミ四媒体(衛星メディア関連を除く)

業種別広告費の変化※マスコミ四媒体(衛星メディア関連を除く)

この10年で業種別の状況はどうなったのか。
左が拡大した業種。右のマイナスのほうに棒グラフが伸びているのが減少した業種です。

左側2番目、エネルギー・素材・機械。リクルーティングの目的でB2B企業の出稿が相次いでいるとされます。親世代が知っていた企業も今は若者が知らず、認知の拡大が急務という課題を持つB2B企業が多いと聞きます。一方、大きく減少した業種は、テレビの全盛期を支えたスポンサー業種とも言えます。

後編は6月中旬アップ予定です。

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