【第13回Webグランプリ受賞作品紹介】アクセシビリティ賞グランプリ|中外製薬 創業100周年サイト

公開日 2026年05月18日
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中外製薬株式会社 広報IR部 広報&eComsグループ

谷本 麻子

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中外製薬は2025年3月10日に100周年を迎え、創業100周年サイトを公開しました。
本サイトと当社のウェブアクセシビリティ対応についてご紹介します。

中外製薬について

中外製薬は、独自の技術とサイエンスを強みとする研究開発型製薬企業です。
売上収益1兆2,579億円、営業利益6,232億円、営業利益率約50%と高い収益性を持ち、その背景には独自のビジネスモデルがあります。2002年にスイスのロシュ社と戦略的アライアンスを開始し、ロシュ社の医薬品を国内で独占販売する一方、自社創薬品の海外展開はロシュ社が担う体制を構築しました。これにより効率的な事業運営と安定した収益基盤を実現し、創薬や技術開発への再投資を加速してきました。提携以降、売上収益は約7.6倍に成長し、営業利益率も約23.3倍に拡大しています。

中外製薬が扱う医薬品は、オンコロジー(がん)領域が半数以上を占めています。加えて、関節や自己免疫疾患などの分野にも展開しています。特に抗体医薬に強みを持ち、国産初の抗体医薬を創出。現在も抗体医薬品の売上において国内トップシェアを維持しています。

創業は1925年。関東大震災後の医薬品不足を背景に、「世の中の役に立つくすりをつくりたい」という想いから創業されました。
「中外」という社名には、国内で生まれた医薬品を世界に届けたいという意思が込められています。
※数値・情報は、登壇日時点(2026年2月24日)現在のものです。

創業100周年サイトについて

100周年サイトに先立ち、コーポレートサイトを全面リニューアルし、イノベーション企業としての認知向上と企業ブランディング強化を図りました。100周年サイトは、その数日後、創業100周年を迎える3月10日に、コーポレートサイト内に公開しました。
コーポレートサイトおよび創業100周年サイトのデザインは、100周年を機に策定したブランドマニュアルに沿って作成しています。ブランドの世界観の設計からビジュアルへの落とし込みを経てマニュアル化しました。
100周年サイト自体は比較的短期間で立ち上げましたが、2023年のブランドマニュアル作成開始から数えると長期にわたるプロジェクトとなりました。

創業100周年サイトの概要

創業100周年記念事業のコンセプトは、過去「これまでを知る」、現在「想いをカタチにする」、未来「次の100年に繋げていく」の3軸で構成され、様々な社内外イベントが開催されました。ウェブサイトもこの3軸とシンクロする形でコンテンツを制作し、歴史を振り返る「歩み」のコンテンツや社内外の現在の取り組みを紹介する読み物、そして社員がアバターを用いて未来の想いを発信する「My Action宣言」などを展開しました。

「My Action宣言」は社員のデジタルブックをつくる周年企画と連動したウェブコンテンツです。社員が自身のアバターを作成しながら、過去と未来に向けた質問に回答することで、オリジナルのヒストリーブックが完成する社内企画で、創業100周年サイトには、このデジタルブックから、社員一人ひとりが実現したい未来への想いである「My Action」の一部を抜粋してコンテンツ化しています。より多くの社員の「My Action」宣言をご覧いただきたいという想いもあり、アクセスのたびに異なる社員の宣言が表示される仕組みとしています。

アバターのイラストはブランドマニュアルに沿って制作することで、ブランドのビジュアル表現の一貫性も担保しました。

アクセシビリティ対応について

当社がアクセシビリティ対応に取り組み始めたのは2019年です。以来、継続的に対応を進め、2022年には子ども向けサイト「そうぞうLABO」がアクセシビリティ賞優秀賞を受賞し、また、コーポレートサイトはトライベック社の「ユーザビリティランキング2025」で3位に選出されています。

2019年に検討を開始した当初、サイトのガイドラインには「ユーザビリティ」や「アクセシビリティ」への配慮に関する記載はあったものの、対応方針や具体的な対応方法は明記されていませんでした。対応は各サイトのオーナーに判断が委ねられ、実質的な取り組みは進んでいない状況でした。
一方で、世の中におけるアクセシビリティへの関心が高まっていました。部内で検討の結果、当社サイトは患者さんをはじめ幅広い年齢の方々が利用されるサイトであること、また、当社のミッションステートメントに掲げる「患者中心」「誠実」という価値観に照らしても、ルールの整備と対応の推進が不可欠との判断に至りました。2019年から段階的に対応に着手し、2020年より全社展開を開始しました。

検討から全社展開、現在の運用に至るまでを振り返ると、2019年当時は、アクセシビリティが未対応であることによって利用者にどのような影響があるか、私自身も十分に理解できていませんでした。当社の医薬品を使用する患者さんの中には、目が見えづらい方や、手足が不自由でマウス操作に頼らずサイトを利用する方もいらっしゃいます。まずは、サイトにアクセスする際の障壁を理解することから始めました。並行して、自部門が運用するコーポレートサイトの現状把握のため、JIS適合性検査を受け、現状のサイトに多くの課題があることを認識しました。そして、国際標準であるWCAGへの準拠を目指し、JIS検査での指摘事項を順次修正していきました。

自部門が管理するサイトの修正を終えた後、製品サイトや疾患啓発サイトなど、他部門が運用するサイトにアクセシビリティ対応を展開しました。サイトの状態と修正に必要な工数や期間を把握するため、既存サイトを一斉に検査した上で、会議体でマネジメント層に、アクセシビリティ対応の必要性について、対応にかかる費用も含めて説明しました。当社の製品は、上市後に長期間にわたり販売されるため、製品サイトや疾患に関するサイトも長期にわたり運用されます。一方で製品特性から更新頻度は高くなく、リニューアルするケースも少ないという特徴があります。そのため、機会を待っての修正ではタイミングを逸してしまうことから、一斉に修正を進めることを提案し、了承を得ました。その上で、方針と適合目標をガイドラインに反映し、全社に展開しました。

導入段階でサイト管理者にアクセシビリティ対応を説明する際、かかる費用の目安を伝え予算計上を依頼しています。予算を確保してもらうことは対応を進める上での最も大きなハードルのひとつでしたが、マネジメント層への事前説明と承認取得が功を奏し、比較的スムーズに進んだと思います。
また、アクセシビリティ対応の基準となるWCAGのガイドライン自体が非常に難解であることから、全社展開当初は、社内のサイト担当者およびベンダー向けの研修も実施しています。対応されていないことによる問題点を丁寧に説明し、ベンダーに向けては専門家による技術的な説明セッションも設け、理解を深めていただきました。
コーポレートサイト以外の既存サイトについても検査結果に基づく修正を進め、2022年までに可能な範囲で対応を完了しました。

現在は運用フェーズに入り、対応の効率化に向けて動いています。これまで実施した検査結果をもとにした解説書「よくある指摘事項」や、簡易チェックリストを作成し、補足資料としてベンダーに配布しています。また、アクセシビリティ検査を通過したテンプレートを配布し、これを元にサイト制作をする取り組みも進めています。それでもなお、サイト公開後の検査では問題の指摘があり、検査で不適合となったものを後追いで修正しているのが現状です。
こうした状況の中、創業100周年サイトは検査・修正前ではありましたが高評価をいただき、グランプリを受賞できたことを大変光栄に受け止めています。

審査員のコメントについての感想と社内外の反応

アクセシビリティ賞は、専門家に加え、さまざまな障害のある方による実利用を通じて評価されるものです。「視線操作で問題なく操作できた」「読み上げブラウザを使ってページの掲載内容を立体的に理解できた」といった声をいただき、これまでの取り組みが実際に情報へのアクセス改善につながっていることを実感しました。
また、ブランドマニュアルに基づいて進めたデザインはアクセシビリティにも良い影響を与えたことも確認できました。マニュアルには、使用する色の配分や背景色ごとに使用すべき文字の色、シンプルでフラットなイラストの表現スタイルなども定めていますが、審査員からはレイアウトが見やすい、グラフィックがわかりやすい、配色のバランスが適切といったコメントもいただくことができました。

アクセシビリティを確保するためには細かな対応が多く求められます。地道な取り組みが評価につながったことは、社内の励みとなったことに加え、制作に携わっていただいたベンダーのご担当者からも、「今後の制作のモチベーションになった」との声をいただいています。
社内コミュニケーションにおいては、社内報やメルマガなど複数の社内媒体で、本取り組みと本受賞が取り上げられました。これにより、ウェブアクセシビリティへの認知が向上するとともに、サイト担当者にも対応の意義が伝わり、取り組みへの理解が深まっています。

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