調査データとコミュニケーション事例から見る IPコンテンツにおける新聞広告の活かし方~前編~【JAA/J-MONITOR連絡協議会共催セミナー】

公開日 2026年07月21日
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  • IP
  • クリエイティブ
  • プロモーション事例
  • 調査結果分析

Jモニター連絡協議会 2026年度議長 読売新聞東京本社

藤木 康裕

Jモニターの背景

新聞広告調査は、Jモニター発足前の2011年以前、各新聞社が個別に実施していました。調査基準は共通だったものの、調査手法が異なるため、広告主からは「結果を比較しづらい」「データを活用しにくい」といった声が上がっていました。
こうした課題を受け、2009年に日本アドバタイザーズ協会 新聞メディア専門委員会が、新聞広告の業界基準となる広告指標策定を提案しました。これを機に、広告会社2社と新聞社5社による「新聞広告効果指標研究会」が発足し、共通調査プラットフォーム「Jモニター」の構想がスタート。運営は第三者性を担保するためビデオリサーチ社に委託し、2011年4月に調査を開始しました。参加新聞社は当初の5紙から、現在は10社11紙へと拡大しています。

Jモニターの仕組み

Jモニターの回答者は、各紙の紙面で募集された読者モニターです。約300名を1グループとし、調査はウェブで実施しています。
対象広告の掲載翌日に調査依頼メールを配信し、回答者には新聞を手元に用意したうえで回答してもらいます。回答時には新聞の号数を入力してもらうことで、対象紙を確認する再認法を採用しています。回答データはシステム上で自動集計され、報告書作成まで一貫して行われます。

Jモニターの特長

Jモニターには、大きく4つの特長があります。

①調査手法・データの統一
各紙で調査手法とデータが統一されているため、複数紙に出稿した広告の効果を横断的に比較できます。

②スピーディーな結果提供
掲載翌日に調査を実施し、翌々日には集計結果と報告書を確認できます。

③手軽な効果測定
広告主は調査票の表示名を指定するだけで調査を実施できます。独自調査に比べて手間やコストを抑えられる点も特長です。

④データの蓄積・活用
調査結果はシステムに蓄積され、平均値などの基準データとして活用できます。

参考までに、こちらはメディア別の反響調査の実態です。
新聞広告の優位性が、スケジュールや費用面でもわかります。

Jモニターの概況

Jモニターは2011年に約1,000社の利用でスタートし、現在では累計約9,300社の広告主に活用されています。
その背景には、「新聞広告は反響が見えにくい」という課題に対し、広告効果を可視化する仕組みとして評価されてきたことがあります。近年は個別定型調査の利用も増加しており、新聞広告の出稿に合わせて継続的に効果測定を行う広告主も少なくありません。

これまで15年間で累計16万件の調査を実施しており、現在も年間1万件以上の広告調査が行われています。
詳細はJモニター公式サイトをご覧ください。

J-MONITOR調査結果に見る IPコンテンツのお祝いごと

読売新聞東京本社 ビジネス局

齋藤 仁

IPコンテンツに関連する新聞広告は、読者にどのように受け止められているのでしょうか。本稿では、Jモニターの調査データをもとに、その傾向を探ります。
分析対象は、漫画・アニメ・ゲーム・キャラクターなどの周年企画や発行部数達成を祝う新聞広告です。こうした広告は、ファンと喜びを共有するコミュニケーション手法として、これまで新聞各紙に数多く掲載されてきました。

今回は、2つの平均値を比較することで、その傾向を探りました。

1つは2022年10月~2025年9月に実施されたJモニター全体の個別定型調査の平均値、もう1つはIPコンテンツのお祝い広告に関する個別定型調査の平均値です。
個別定型調査は、広告接触状況や広告評価、態度変容など8項目で構成されています。本稿では、そのうち4つの指標に着目し、IPコンテンツのお祝い広告が読者にどのように受け止められているのかを探ります。

棒グラフはJモニター全体の平均値、折れ線グラフはIPコンテンツのお祝い広告の平均値を示しています。

広告接触状況・広告評価

「広告接触状況」では、IPコンテンツのお祝い広告が全体平均を上回り、特に「広告注目率」は10ポイント以上高い結果となりました。このことから、IPコンテンツのお祝い広告は通常の広告よりも注目されやすく、読者の記憶にも残りやすいことがうかがえます。
また、広告評価においても「広告の興味度」「広告の好感度」「広告の信頼度」の3項目で 、IPコンテンツのお祝い広告は全体平均を上回りました。

【年代別】広告接触状況・広告評価

次に、広告接触状況と広告評価を年代別に見ていきます。
IPコンテンツとの親和性が高いと考えられる29歳以下、30代、40代を比較すると、29歳以下と30代では広告接触率は全体平均を下回る一方、広告注目率は上回る結果となりました。特に29歳以下では、広告接触率と広告注目率がほぼ同水準となっており、広告を見た人の多くが内容までしっかり確認していることがうかがえます。
また、29歳以下と30代では広告評価の全項目が全体平均を上回りました。なかでも29歳以下は、広告興味度と広告好感度で平均との差が大きく、IPコンテンツのお祝い広告への高い関心が見られました。

広告の印象

続いて「広告の印象」を見てみましょう。
IPコンテンツのお祝い広告は、「目立つ」のスコアが全体平均を大きく上回りました。キャラクターなどを活用したクリエイティブが、読者の目を引いていると考えられます。
また、「面白い」「個性的である」「話題性がある」も全体平均を上回っており、広告の印象全体で高い評価を得ています。

【年代別】広告の印象

年代別では、29歳以下で「デザイン」「コピー」の評価が高く、「文字の大きさがちょうどよい」「センスがよい」も全体平均を5ポイント以上上回りました。一方、40代では「オリジナリティ」の評価が高い傾向が見られました。

広告による態度変容

「広告による態度変容」については、全体平均値を下回る項目は見られませんでした。なかでも「あらためて『広告主もしくは商品ブランド名』に注目した」「店舗で確認しようと思った」は、全体平均値を3ポイント以上上回っています。
コミック関連の周年広告の場合、既存ファンが新聞広告をきっかけに作品へ再び関心を向け、その結果、店頭で商品を確認しようとする行動につながったと考えられます。

【年代別】広告による態度変容

広告による態度変容を年代別に見ると、IPお祝い広告の29歳以下および30代では、「あらためて『広告主もしくは商品ブランド名』に注目した」のスコアが全体平均値を上回っています。特に29歳以下では、全体平均値との差が9.2ポイントと大きくなっています。
また、29歳以下の「まわりの人と話題にしたいと思った(ブログ・SNSでの発信を含む)」のスコアは7.6%で、全体平均値の3.8%を大きく上回り、約2倍となっています。

数値自体は決して高くないように見えるものの、SNS上では一部のユーザーによる発信が大きな拡散につながるケースも少なくありません。そのため、この項目が全体平均値の2倍となっていることから、IPお祝い広告は話題化や情報拡散につながる可能性を高める効果があったと考えられます。

まとめ

◆IPコンテンツのお祝いごとに関わる新聞広告は、通常の新聞広告に比べて高い注目を集める傾向が見られました。
キャラクターなどのビジュアルが目を引くこともあり、広告をしっかり見てもらいやすいと考えられます。

◆新聞広告が持つ社会的・公的なイメージの中でお祝いごとを伝えることで、読者には好意的に受け止められる傾向が見られました。また、広告を通じて当該IPコンテンツへの愛着や「好き」という気持ちをあらためて認識し、その思いを周囲の人やSNSで共有したいという意識を喚起するきっかけにもなっていることがうかがえます。

後編は7月下旬掲載予定です。

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