【ついに始まるChatGPT広告】広告主はどのように活用すべきか、そしてブランドとして考えておくべきこと~後編~【デジタルマーケティング研究機構|月例セミナー】

公開日 2026年08月17日
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前編はコチラから

StackAdapt Japan 株式会社 Head of Business

山口 武

株式会社Shirofune 代表取締役 一般社団法人 Advertisers and Publishers Transparency Initiative共同代表

菊池 満長

SEARCHLIGHT株式会社 代表取締役 Originator Profile 技術研究組合 JICDAQアドバイザー

瀬戸 亮

日本経済新聞社 デジタルマーケティング研究機構 幹事 データ活用委員会 委員長

小林 秀次

パネルディスカッション

広告主は何を意識すべきか

小林

広告主がChatGPT広告に向き合う上で何を意識すべきかを考えていきたいと思います。ユーザー体験(UX)をどのように捉えるべきか。新しい広告プラットフォームとして成果指標をどう考えるべきか。また、どのような商材や業種と相性が良いのか。まだパイロットプログラムの段階だからこそ見えてくる課題や可能性について議論していきます。

山口

重要なのは、現在がまだパイロット版であるという点です。ユーザー体験に関するルールや広告掲載基準も、OpenAIは利用者の反応や社会的な受け止め方を見ながら継続的に見直しています。
例えば金融や医療などセンシティブなカテゴリーについては、配信可否の基準が変更されることがあります。以前は配信可能だった業種が、後から対象外になるケースもありました。それだけOpenAIは、ユーザーとの信頼関係や安全性を重視しているということだと思います。

ChatGPTは日常的な相談相手として利用されることも多いため、ユーザーが「友人のように接していたAIから突然商品を勧められた」と感じるような体験は避けなければなりません。

重要なのは「どこで表示されるか」より「なぜ表示されるか」

山口

その意味では、広告のコンテキスト設計が非常に重要になります。広告を設定する際には、クリエイティブだけでなく、どのような文脈で表示されるべきかを丁寧に設計する必要があります。広告内容とユーザーの会話内容、そして遷移先のサイトまで含めて一貫性がなければ、ユーザーに違和感を与えてしまいます。私たちも広告主を支援する中で、どのようなコンテキストで表示されるべきかについてコンサルティングを行っています。

小林

一方で難しいのは、ChatGPTの回答ロジックと広告配信ロジックが必ずしも同じではないという点です。広告主は「こういう文脈で表示されてほしい」と設定できますが、実際の会話はユーザーごとに大きく異なります。そのため、想定とは少し異なる文脈で広告が表示される可能性もありますし、受け取られ方も変わってくるかもしれません。そうした前提を踏まえると、広告主や運用担当者には従来以上に慎重な設計やモニタリングが求められそうです。

KPIを「発明」する

菊池

最後の購入だけでなく、認知からコンバージョンまで含めて考えると、何を成果として見るのかは難しいところです。どこに効いているのかを探りながら、新しいKPIを“発明”していく必要があります。こういうところに効いていそうだから投資を増やそう、と考えながら手探りで進めていく。パイロット段階から取り組むことで、その感覚が身につき、差別化にもつながると思います。

小林

KPIを「発明する」という表現、いいですね。

瀬戸

守る側の立場だと、「本当にそれは大事なのか」と考えることが多いです。一方で、新しい仕組みが浸透したときに社会がどう変わるのかには非常に興味があります。

小林

今はデジタル広告そのものがユーザーから厳しく見られることもあります。だからこそ、数字遊びではなく、消費者にちゃんと届いていると実感できる指標が見えてくるといいですね。

瀬戸

ChatGPTには回答へのフィードバック機能があります。広告についても、ユーザーがインタラクティブに評価できる仕組みがあると面白いと思います。

山口

実際、KPIについて悩まれる広告主は多いです。ChatGPT広告に興味はあっても、従来のKPIやレポートとどう整合性を取るか悩まれています。ChatGPT単体のCPCやCPAだけではなく、他の広告チャネルも含めたアトリビューションで見ていく考え方が必要になると思います。

小林

例えばChatGPTで広告を見た人がクリックせず、後日別ルートでサイトを訪れてコンバージョンした場合、その最初の接点がChatGPTだったことは分かるのでしょうか。

山口

現状では難しいですね。クリックが発生しないと計測はできません。

菊池

米国ではアトリビューションツールの進化版として、インクリメンタリティを測る取り組みも進んでいます。ChatGPT広告も直接効果だけでなく、統計的にどれだけ購買を押し上げたかを見るようになると、新しい評価軸が生まれてくると思います。

小林

そこが見えてくると、広告の価値について今とは違う議論ができそうですね。

ブランドセーフティと透明性をどう考えるか

小林

こういう文脈では出したくない、という除外設定や、実際に広告が見られたかどうかの計測はできるのでしょうか。

山口

現時点では除外キーワードの設定はできません。ビューアビリティ計測や外部計測タグにも対応していない状況です。ただ、広告はチャットボックス直上に表示されるため、目に入る位置ではあります。今後は計測環境も整備されていくべきだと思います。

小林

ユーザーにとっては突然広告が出てきたように感じるかもしれません。だからこそ、どんなタイトルや説明文を使うのか、どんな文脈で出すのかを広告主は意識する必要があります。

山口

もともとコンテキストマッチ型の広告ですので、アドグループ設計が重要になります。除外キーワードは使えませんが、ポジティブな文脈に合わせた設計を行うことでリスクは最小限に抑えられると思います。

小林

費用対効果だけを求めるとユーザーが置き去りになります。ユーザー、広告主、プラットフォームの三者が納得できる形を目指したいですね。

瀬戸

その通りだと思います。消費者から見ても「この広告なら受け入れられる」と思えるプラットフォームなのかが重要です。広告主としても、ブランドセーフティやアドフラウド対策など、信頼できる環境を選びたい。ChatGPT広告という新しい選択肢が増えたこと自体は前向きに捉えています。

小林

広告主の皆さんには、従来の広告と単純比較するのではなく、新しい場として捉えてほしいと思います。ユーザー、プラットフォーム、広告主の三者にとって良い形を考えていくことが大切です。

瀬戸

広告主側では、総務省のガイダンスへの対応もあります。透明性を高めることや、配信先を確認することが求められています。今回の仕組みがそうした考え方とどう結びつくのかは、今後考えていく必要があるでしょう。

小林

まずはユーザーとして体験し、感じたことをフィードバックしていくことが大事です。これまでの広告の形に当てはめるのではなく、皆さんと一緒に新しい形を作っていければと思います。

AIに選ばれる時代、広告・メディア・消費者の関係はどう変わるのか

小林

生成AIの登場によって広告は大きく変わりつつあります。クリエイティブ制作だけでなく、将来的にはAI同士が広告を選び、配信し、消費者側もAIエージェントを使って購買する世界が来るかもしれません。そうなると、人に見てもらうための広告だけでなく、「AIに選ばれるための情報設計」が重要になっていく気がしています。

今までは「認知→興味→比較→購買」というファネルで考えていましたが、AIがそのプロセスを一度に代行するようになると、そもそも選ばれなければ認知すらされない世界になるかもしれません。

山口

私は逆に、検討の時間は増えていると感じています。例えば商品選びでも、ChatGPTに相談しながら比較検討する人は増えています。従来のファネルがなくなるというより、検討フェーズがより深くなっている印象です。

菊池

消費者の情報が増えるなら、広告主側も提供する情報を増やしていかなければなりません。どんな文脈で、どんな情報を届ければ理解や満足につながるのか。キーワード中心だった時代より、はるかに深いコミュニケーションが求められると思います。

小林

AIが選ぶ時代になると、文脈ごとのクリエイティブやLPを大量に用意することも可能になりますね。

菊池

そうですね。AIによって文脈ごとのクリエイティブや受け皿を用意できるようになっていくと思います。

瀬戸

ただ、その一方でAIが生成する内容の精度や制御には課題があります。なぜその推論に至ったのか分からない部分も多く、どこまで信頼できるのかは慎重に見ていく必要があります。

小林

効率化のメリットは大きいですが、ガードレールなしに進むのは危険です。AIを活用しながらも、どこにリスクがあるのかを考えていく必要がありますね。

AI時代に高まる「オリジナル情報」の価値

瀬戸

私たちは以前からオリジネーター・プロファイルの取り組みを進めています。誰が発信した情報なのかを明らかにし、透明性や信頼性を高めることが重要だと考えています。

山口

パブリッシャーとの関係も変わってきています。ChatGPT経由のトラフィックはまだ多くありませんが、滞在時間やエンゲージメントは高い傾向があります。AIが概要を整理し、その先を深掘りしたい人が媒体を訪れるようになっているのかもしれません。

小林

検索エンジンが情報の入口だった時代から、AIがハブになる時代へ移りつつあります。その中で媒体社には、より深い情報や独自の価値が求められるようになりそうです。

AIが介在する時代のコミュニケーション

菊池

これまでは消費者、広告主、プラットフォームが直接つながっていましたが、これからはその間にAIが入ってきます。コミュニケーションそのものの意味が変わっていくのかもしれません。

瀬戸

AIが要約や整理を担うようになると、最後に価値を持つのは感情や体験、視覚表現のような、人の心を動かす部分になると思います。AIが代替できないクリエイティブの重要性はむしろ高まるのではないでしょうか。

山口

検索を置き換えるというより、使い方が変わっているのだと思います。だからこそ広告も、それぞれのチャネルの役割を理解しながら総合的に考えていく必要があります。

小林

消費者行動が大きく変わる中で、ユーザーとプラットフォーム、そして広告主のコミュニケーションのあり方も変わるタイミングに来ているのかもしれません。

まずは使ってみる。ユーザーと乖離しないことが第一歩

小林

ここまで議論してきましたが、結局、明日から何をすればいいのでしょうか。情報収集やトライアンドエラーは大事だと思う一方で、事業としては失敗も避けたい。広告やマーケティングに関わる人は何を意識すべきでしょうか。

山口

ChatGPT広告だけを切り出して考えるのは危険だと思います。消費者の時間は有限ですし、ChatGPTの登場によって検索やSNS、動画など他のチャネルの役割も変わっています。だからこそ、ChatGPT広告だけを見るのではなく、他チャネルとの関係性やアトリビューションも含めて総合的に評価することが重要です。

小林

個別の広告レポートを見るのではなく、全体で判断していく必要があるということですね。

菊池

新しいフロンティアが現れたわけですから、まずはできる範囲で試してみることが大事だと思います。従来の検索広告との違いは何か、何を変えると成果が出るのか。早めに試しながら知見を蓄積していくことが現実的なアプローチではないでしょうか。

瀬戸

新しいプラットフォームが登場したときに忘れてはいけないのは、私たち自身が選ぶ立場でもあるということです。広告主も消費者も、どのようなサービスを支持するのかという態度を示していくことが、結果的にプラットフォームをより良い方向に進化させることにつながると思います。

小林

広告主になると、どうしても配信効率や成果ばかり考えがちですが、自分自身もユーザーであることを忘れないことが大切だと思います。「自分が利用者だったらどう感じるか」という視点を持ち続けることが、ユーザーとの乖離を防ぐことにつながるのではないでしょうか。

瀬戸

こうした新しいプラットフォームの登場は、そう何度も経験できるものではありません。情報収集をしながら、自分たちにとって正しい選択をしていければいいと思います。

菊池

新しい体験や新しい価値を生み出せるチャンスでもあります。前向きに楽しみながら取り組んでいきたいですね。

山口

本当にワクワクするフェーズだと思います。難しい課題もありますが、新しい広告やコミュニケーションのあり方を考えられる貴重な機会です。

小林

日本でもChatGPT広告の提供が始まりました。まずはユーザーとして体験し、何が心地よく、何が違和感なのかを感じてみること。そして、その声をプラットフォームへ返していくことが大切だと思います。

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