【特別記事】「デジタル健全化」座談会【後編】数字だけでは測れない広告の価値―健全な広告環境をつくるために必要なこと―

公開日 2026年09月30日
  • デジタルマーケティング
  • 広告品質
  • デジタルメディア
  • デジタルマーケティング研究機構

株式会社SUBARU 国内営業本部マーケティング推進部 宣伝課 課長

安室 敦史

ディップ株式会社 マーケティング本部 本部長

中村 大亮

株式会社日本経済新聞社 プラットフォーム推進室 部長

小林 秀次

SBCメディカルグループ株式会社 CMO

井上 慎也

★前編はコチラをクリック

広告の健全化に必要な「覚悟」と「足並み」

安室

背景には、日本が経済成長できなくなって苦しくなったことも一つあると思います。
高度経済成長のように、どんどん市場が伸びて儲かっていた時代は、今みたいなことは起きていなかったはずです。
人口も減って、市場も難しくなってきて、その中で「あの手この手で何とかしよう」として、少しグレーなことも出てきている。
心の貧しさというか、そういうものが出ている部分もあるんじゃないかなと思います。

小林

メディアが儲かっていたら、広告枠は今みたいには増えないですよね。
それなりの枠で、ちゃんと価値を持って提供できるはずです。
事業会社側も、新規のお客さんがどんどん取れていたら、無茶なことはやらないでしょう。
確かに、おっしゃる通りだと思います。

井上

広告だけではなくて、営業や販売もそうですが、日本市場の多くが右肩下がりになっている中で、上場企業を中心に、右肩上がりの売上や改善、成長が当然のように求められています。
その中で、無理やり数字を作ろうとしてしまう。

中村

働き方改革の影響もあると思います。効率的に生産性を上げろ、その上で数字も上げろ、となった結果、悪い方向に進んでしまっている部分もあるかもしれないですね。

小林

メディアプランをAIに作らせたら、たぶん効率しか見なくなると思います。
実際、人がメディアプランを作らなくなっているという話もありますし、AIエージェントが広告の買い付けをするという話も出ています。
インターネット広告市場自体は右肩上がりで成長しています。でも、その割には業界全体が潤っている感じがしない。何なんでしょうね。

井上

デジタル広告は、分かりやすく「数字が取れている風」に見せやすいというのはあると思います。
経営層やマネジメントに説明しやすい。だからデジタルに流れている部分もあると思います。

中村

デジタル以外でも、昔から重回帰分析など、説明する方法はいろいろありました。
ただ、見た目として説明しやすいのがデジタルで、それが状況に拍車をかけている感じはあります。

井上

うちでは、メンバーにもパートナーにも、デジタル広告の目的は「お客さま理解と検証に使うこと」も大事だと言っています。
デジタル広告を獲得だけに使うと、結局は競合との顕在層奪い合いの札束勝負になって、市場が広がらない。
デジタル広告だけでニーズや市場を作ることは難しいと思っています。
だから、マス広告の比率は上げていますし、運用型デジタル広告の比率は下げています。
広告は市場を作るほうに持っていきたい。
CPAをひたすら追うこと自体には、あまり学びがありません。
「こういうお客さまに、こういう問いかけをしたら反応してくれた」
「こういうメッセージだから、自分たちを選んでくれた」
そういう学びを積み重ねて、それをもっと大きな戦略につなげたほうが、その先の市場を創れると思っています。
顕在層の刈り取りだけをずっとやっていても、その先はない。
それを続けると、どんどん悪い方向に行ってしまうと思います。
業界全体で見ても、ちゃんとやろうとしている人がいても、抜け道があることで悪いことをする人が得をしてしまう。
ある程度、性悪説で考えないといけない部分もあると思います。
短期的には、悪いことをしたほうが数字も取れるし、売上も上がる。
メディアやプラットフォームも見て見ぬふりをすれば、お金は増える。
そういう悪循環が起きています。

事務局

私たちは規制する団体ではなく、啓発する団体です。どこか規制する組織が「これはダメです」と明確に示してくれない限り、摘発する機能を持っていないので、すごくもどかしさを感じています。

小林

法律を超えた表現をする事業会社や、裏側で数字を操作するメディアが儲かるのは正しくありません。
ただ、私たちが「ちゃんとしましょう」と言うだけでは、みんなが同じ方向を向かなければ変わらない。悪いことをする人だけが儲かる状況を、どう変えていくかが課題です。

安室

あらゆることを同時進行で進めていかないと、きっとうまくいかないと思います。

中村

心あるクライアントが協力して、正しいことをやっているメディアをきちんと儲けさせることも必要だと思います。「こうすればメディアはちゃんと儲かる」という実感を持ってもらうことが重要なのではないでしょうか。

小林

一度始めたやり方から、なかなか抜け出せない事業会社も多いと思います。
純広は正直、面倒です。一つひとつ媒体と向き合わなければいけない。
でも、本当に健全なメディアを育てたいと思うなら、純広として発注し、媒体と向き合うことも必要だと思います。

Win-Winになっていく関係をつくる

安室

スバルは、WRC(世界ラリー選手権)に参戦していた時代があります。私は以前、自動車雑誌の担当をしていました。
『ラリープラス』という雑誌の表4に広告を入れ続けていたのですが、先輩から引き継いだときに、「次、お前の仕事はこれだ。ラリープラスだけは絶対に表4に入れ続けろ。誰に何を言われても続けろ」と言われました。
「でも、もうラリーはやめていますよね」と聞いたら、「もし、いつかラリーに戻ることになったとき、ラリーを伝えてくれているラリープラスがなくなっていたらどうするんだ。我々が広告を入れなかったら、この雑誌がなくなって、ラリーという文化がなくなる。日本でラリーを伝えてくれているのは、このメディアしかないんだ」と。
その言葉がすごく印象に残っています。
それと同じことだと思うんです。必要なメディアというのは絶対にある。僕らにとっては『ラリープラス』だったわけですが、日本人にとって必要なメディアもきっとある。
そうしたメディアと、Win-Winになっていく関係をつくる必要があるのではないでしょうか。

事務局

紙の時代は、編集長や広告営業が広告主のところへ直接足を運んで、人間関係をつくっていました。
でもデジタルになって、自動化や効率化の弊害が、ボディブローのように効いてきていると思います。実際、事業会社とメディアの人が会わなくなっています。

中村

文句があっても、相手がいないから言えないですよね。

安室

昔は車メディアとは、お互い対等な関係でやっていました。それがなくなってしまった。

中村

私自身、営業として純広やタイアップを売っていた経験があります。
「この特集をやるので、編集に相談します」「この企画でタイアップを入れてください」といったやり取りが普通にありました。

小林

インターネット広告の黎明期にも、そういうやり取りはありました。
ただ、メディアが苦しいと言っていても、誰も手を差し伸べないまま来てしまった部分があります。
その結果Google等の運用型広告を増やせば売上が上がるから、とにかくそれを増やす。でも、それだけでは立ち行かなくなり、メディアを閉じたり、雑誌を休刊したりする会社も増えています。

事務局

広告営業自体がいなくなりました。
新しいメディアは、最初から純広というものを知らないケースも多いですよね。

小林

広告商品を作った経験がない人がデジタルメディアを担当しているケースもあります。
結果として、食い物にされてしまうメディアは、そういう構造になっているのではないかと思います。

井上

PVを稼ごうとすると、メディアは怪しい記事や大量の記事を作る方向に向かってしまう。本当にバッドスパイラルに入ってしまいます。

事務局

現状、掲載先を担保しようとするなら、ホワイトリストのような仕組みをつくるしかないのかもしれません。
記事コンテンツの品質を担保するには、一定の基準を設ける必要があると思います。

安室

それは正論中の正論だと思います。
ただ、事業会社の立場からすると、今PMP(プライベートマーケットプレイス)をもう一度やりますか、と言われると、なかなか難しいですよね。

小林

この企画なら、このメディアとの相性がいいからタイアップを実施する、ということはあります。
ただ、多くのWEBメディアの収益のベースは運用型広告になっているのが現状と聞いています。

広告の健全化には、個人ではなく組織の変革が必要

中村

おっしゃる通りです。銀座でアプティのオープニングセッションに登壇していたプラットフォーマーのUnitedは、健全なメディアを応援するというスタンスでした。
そういう姿勢は、やっぱり応援したくなりますよね。

事務局

プラットフォームも、信念を持って運営できている間はいいと思います。
ただ、人が変わった瞬間に、少しずつ変わってしまうことがあります。

小林

事業会社側も、エージェンシーも、メディアも、人が変わると「もっと楽して効率よく稼ごう」という方向に流れてしまうことはあると思います。

井上

企業の中に、マーケターでありながら経営者目線を持てる人を増やさないといけないと思います。
先ほど話した私自身の決断も、立場があり、売上などの数字の責任も負っていて、マーケティングの知識もあったからこそ、「ブランドと市場を育てることで勝たなければいけない」と判断できました。
数字も含めて自分が責任を持つからこそ、変えることができた。
企業の中には、短期的なわかりやすい数字だけを追う方も多いです。何のために広告をするのか。目先の数字を追うためなのか、ブランドをつくるためなのか、本当の意味で経営につながるものなのか。
そこを考える人が必要だと思います。

安室

自分のお金だったら絶対に払わないようなことでも、会社のお金だからやってしまうということはありますよね。

井上

私も、もしデジタルマーケティング部長という立場だけだったら、わかりやすい数字を追ってしまうと思います。

事務局

その視点は、どのレイヤーまで持つべきなのかという問題もあります。
働き方改革の影響もボディブローのように効いていて、昔のように徹底的に仕事をする中で経験を積む機会も減っています。
担当者レベルでは、上から降りてきた数字だけを見て、「この数字を達成すればいいんですよね」となりやすい。
その数字が何を意味しているのか、会社としてどこを目指しているのかを理解する機会が減っています。
以前は、上司と話をしたり、飲みに行ったりする中で、会社のビジョンや考え方を自然に理解する場面もありました。
今はそうした機会も減り、数字だけを見る社員が増えているように感じます。
では、その若手を誰が育てるのか。結局、一部のポジションにいる人の負荷だけが高まってしまう可能性があります。
昔の大きなブランド企業では、末端の社員まで「自分はこの看板を背負っている」という意識を、言葉にしなくても持っていました。
そういう感覚を持つ若手が少なくなっているように感じます。

小林

若手を育てていく必要性は本当に高いと思います。
そこに少し私自身もその危機感を持って始めたのが、「マーケティングとは何か」についてのという研修プログラムです。まずは若手から始めました。
マーケティングは、単なるプロモーションや広告ではなく、本来は経営そのものです。
ただ、そう言うと自分から遠いものに感じてしまう。
そこで、「マーケティングとは、市場に価値をつくっていくこと」と伝えるようにしました。
事前に経営陣にも説明し、承認を得た上で、5年間続けています。
社内でも少しずつ認識されるようになり、今では新しい商品やプロモーションの話が出た時に、「ターゲットは誰なのか」「その人はどんなインサイトを持っているのか」と考えるようになっています。
当たり前のことですが、それができなくなってきているいくことに危機感がありました。
だからこそ、広告の健全化には、個々の施策だけではなく、社内の文化づくりが重要だと思っています。

デジタルマーケティング部を超えて、本来のマーケティングへ

井上

極論になりますが、デジタルマーケティング部は解体しないといけないと思っています。
よくあるのが、デジタルマーケティング部と宣伝部が「自分たちのほうが価値がある」と、お互いに主張しているケースです。
デジタルマーケティング部は、どうしても「数字が取れる」という見え方をアピールしがちです。
そうなると、結局は社内の取り合いになってしまう。
テレビなのかデジタルなのか、ブランディングなのか目先の売上なのか。
どちらが正しいのかという対立構造を作ってしまいます。
その場合は、お客さま起点で戦略を考える。そして何を目的にするのか。その目的に対して、テレビなのか、イベントなのか、デジタルなのか、どのバランスが良いのかを考えることがいいと思います。

本当に会社の成長に向き合うなら、統合的に考えるマーケティング本部を作るべきだと思いますし、その中には施策軸ではなく目的やお客さま軸の部や課をもつ。
また、メディアにちゃんとお金が落ちる仕組みを作るという意味では、一度切り離して、昔の宣伝部のような形に戻すという考え方もあるかもしれません。
デジタルマーケティング部という存在ができたことは黎明期や推進するには良いかもしれませんが、現在ではその存在自体が、少し弊害になっている部分もあると思っています。
そこにいた人や業界が、既存メディアを否定する流れになって、それが極端な方向に進んでしまった面もあるのではないでしょうか。

中村

私がある会社に入って、最初にメンバー全員へした質問があります。
「うちの旗艦ブランドにとって、一番大事なお客さんは誰ですか」と聞きました。
全員に聞いたんですけど、見事にバラバラでした。答えられない人もいました。
その後、同じ社員に「あなたは顧客をよく理解していますか」とアンケートを取ったら、全員が「理解しています」と答えたんです。

「なんじゃ、これは」と思いました。
ある時、デジタルを担当しているメンバーに、「なんで顧客理解できていると思うの?」と、普通に聞いたんです。
すると、「AセグメントのほうがBセグメントより効果がいいことが分かっているからです」と言われました。
つまりABテストの結果を把握しているから顧客を理解しているというのです。まさに、そういうところから始めないといけないと思いました。顧客理解とは何なのか、というところからです。
あと、先ほどの話にも戻りますが、自分の担当領域以外の数字を全員が理解するべきだと思っています。例えばAブランドのWEB獲得広告担当はCPAだけではなく、認知や想起も把握すべきという話です。
自分が担当しているブランドやサービスについては、数字の意味まで理解して、全体像を説明できるようにしようという話をしています。

小林

ちゃんと事業を理解しないとダメですよね。
マーケティングは価値を作っていくことなので、顧客を理解しなければいけない。
マーケティング部だけで閉じるのではなく、事業そのものを理解していくという、事業会社側の変革も必要だと思います。
一方で、多くのメディアも矜持を失って、広告枠をどんどん売る方向に進んでしまった。
そうすると、「そこに広告を出したい」と思う広告主がいなくなる。顧客理解は、メディア側にも必要です。
読者というお客さんがいる。
そして、広告を出してくれる事業会社もお客様です。
広告を出したいと思われないような場所を作ってはいけない。
事業会社もメディア側も、結局は顧客理解が一番軸になると思います。

事務局

そして、もう一歩進めると、顧客理解を数字だけで捉えてしまうのは、本当の意味での顧客理解ではないと思います。

小林

最初に安室さんがおっしゃったことが、答えなんじゃないかと思います。
消費者目線で見る。それが顧客理解ですよね。顧客が嫌だと思うことをしない。
それだけでも広告の健全化につながると思います。

事務局

なんとなく「デジタル」や「宣伝」という視点ではなく、「マーケティング」という視点になると、価値を作ることを考えるようになる。
顧客を理解した上で、それをCXとして自社の商品やサービスにどう反映していくのか。
そこまで視野を持たないといけないのではないでしょうか。

小林

バリュープロポジションを定義する、ということですよね。
「お客様にどんな価値を提供しているのか」
例えば、日本経済新聞はお客様の何を解決して、どういう存在として捉えられるべきなのか。
そういう話をすると、会社の各方面から違う意見が出ることも予想できます。
でも、それを語れないままExcelだけを見るというのは違うと思います。

安室

セミナーでは、どんなテーマでも10~15分くらいずっとスバルの想いを話します。鬱陶しいくらい(笑)

事務局

そこがないと、語ったところで薄っぺらくなりますよね。

小林

医療系の企業は、外から見ると似たような会社も多いです。
でも、「この会社だからこうなんだ」という思いや価値がある。
そこが一番、消費者に伝えるべきことなんじゃないかと思います。
その価値を届けるためには、どういうメッセージがいいのか。
「どの枠に出るか」「CPAはいくつか」だけではないですよね。

事務局

そこまで考えると、部署ごとのサイロ化なんて言っていられないはずです。
商品開発部門とも連携して、消費者の声を社内に届けるところまでがマーケティングの役割になると思います。

小林

この話は、ぜひ媒体社の方にも聞いてほしいです。媒体社こそ、消費者を理解してほしい。
あんな広告枠の入れ方をしていたら、読者は離れてしまいます。ずっとメディア側にいたからこそ、余計に憤りがあります。

中村

我々も純広やTU広告時代は、媒体資料には「こういうペルソナで、この属性が多い」とか書かれていました。
でも今は、何十媒体もの集合体としての統計的な属性で見ることが増えています。
ある意味、我々も後退している部分があります。
ターゲティングのテクノロジー自体は進化していますが、その分、人が考える部分が減っている。

小林

テクノロジーが進化すると、人は楽をして退化します。
この団体名の『デジタルマーケティング研究機構』という名前自体も、今考えると少し考えさせられます。デジタルを推進するためには必要だった時代もあったと思うんですが、デジタルだけ、ネット広告だけという狭い意味になってしまうと違うと思います。

デジタルでデータが取れる、検証できるということ自体は素晴らしいことです。
でも、それが目的になってしまうと違う。
デジタルだけ、ネット広告のプロモーションだけという狭い世界になってしまう。
そこが問題なんだと思います。

事務局

このままだと、メディアは本当に瀕死状態になります。
2010年代に、スターバックスが費用をすべて負担してカルチャー系のメディアを展開したことがありました。
あのように、広告主自身がメディアを支えることも必要になるかもしれません。
ただ商品を売るためだけではなく、車なら車が生み出す価値や文化、ライフスタイルを伝える。
そういうメディアを作るという考え方です。AI時代には、そうした取り組みも必要になるのではないでしょうか。

小林

企業がオウンドメディアを広げているのも、まさにそういう背景がありますね。
媒体社だけに任せていられないという考えもあります。

安室

自動車業界では、昔から名物編集長のような存在がたくさんいました。
今は、そういう方々がSNSやYouTubeで、自分自身がメディアになっています。
車を買うとき、ファンはジャーナリストの動画を必ず見ます。それ自体が、もうメディア化している。
ジャーナリストは、我々にとって耳の痛いことも言ってくれます。
でも、それが健全な関係だと思います。
メディアは、人と人とのつながりの中でしか生きていけないのではないでしょうか。

業界を育てることが、メディアの価値につながる

小林

健全な状態というのは、お互いにまず顔を知っていて、意見を言い合えることだと思います。

井上

どちらが儲けるかという話ではなく、その業界をどう伸ばしていくか。そういう視点で話ができると、すごく楽しいですよね。

安室

お互いを伸ばすことになりますからね。業界が儲かれば、メディアも儲かる。

井上

業界そのものを維持していかないといけないと思います。
例えば自動車業界でいうと、今はカーナビやスピーカーについて、一般の方はあまり知らないことも多いです。
スピーカーを交換できることも、知られていません。
もちろん、私たちが商品を売りたいということだけではありません。
車での移動時間に音楽やエンターテインメントを楽しむことは、とても大切な価値であり
「もっと車を楽しむ」ということを一緒に発信してほしいとメディアに相談したところ、協力してもらえました。
車離れが言われていますが、本来の楽しさを伝えれば、共感してくれる人はたくさんいます。
カルチャーをつくるためにメディアへ投資する。
そういう発想になると、単に数字をつくるのではなく、「どうやって事業をつくるのか」という考え方になります。
業界全体が、そうした発想を持つ必要があると思います。

安室

それぞれの業界ごとに取り組んでいくしかないのかもしれません。
私たちは自動車業界の中でやるしかない。
メディアが変な広告だらけになっていたら、「これは違うんじゃないか」と言えるところから始めないといけない気がします。

小林

映画の制作委員会方式のように、事業会社だけではなく、媒体側も含めて一緒に盛り上げていく。美容業界も、人材業界も、同じことが言えると思います。

井上

海外では、企業やメディアが問題のあることをしていたら、「そこには広告を出さない」と言って、健全化を促すような動きもあります。そういうやり方もありますよね。

事務局

日本では、法的には難しい部分もあります。

小林

広告主が「ここには出さない。その理由はこうです」と意思表示すること自体は、一つの方法なのかもしれません。
それには、大手企業など影響力のあるところが声を上げることが重要なのかもしれません。一社だけでは難しい部分もあります。

中村

具体的な話をするために、プレーヤー同士で集まって、「こういう広告枠は嫌ですよね」といった話をする機会を設けた方がいいかもしれません。

事務局

まずは足元から、もう一度取り組んでいくことなのかもしれません。
手間が掛かることもあると思いますが、それが一番必要なことなのかもしれませんね。

中村

この座談会もそうですが、これまでは少しふわっとした議論をしてきました。ただ、もう具体的なアクションに移らなければいけない。一歩ずつでも行動を起こさなければ、何も変わらないのではないでしょうか。

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